先輩の声:成績優秀者表彰の受賞挨拶

2017年6月
可能性に満ち溢れた高校生・大学生

小畑大樹(理工学研究科博士前期課程 平成25(2013)年3月修了)

 地質調査のため山を登り、沢を登り、学校内で岩石薄片を作成していた大学生活。貴重な体験をした大学を卒業して3年以上経ちました。現在、私は千葉県内の県立高校で地学教員として勤めています。今年は3年生の学級担任であり、2つの部活顧問を掛け持っています。生徒の大学受験が近いということで保護者や生徒との面談も多く、プレッシャーも感じています。非常に忙しいのが本音です。しかし、小さい頃から学校の先生になりたかった私にとっては、毎日が刺激的で充実しています。

 私は高校の時に地学の楽しさを知りました。ただ、地学教員としての私は、大学時代に形成されたような気がします。大学の講義や、先生・友人との会話、茨城県北ジオパーク活動に携わり、地球科学と日常生活の深い関わりについて学んだことが大きかったのです。よく教科書に載っている砂岩や泥岩などの語句。何も気にしなければ、岩石を区分する一つの言葉です。ただ、これが私達の足元に存在し、私達の住む家や街の土台を作っており、更にその地域の歴史や文化にまで関連するとなると、興味がわいてくるものです。私の授業でも、地球科学と生徒との関係性を意識し、展開するよう努力しています。そして、一人でも多くの生徒が、理科好き、地学好きになってほしいと思いながら、日々過ごしています。

 また、私の一番の楽しみは生徒の成長です。足が速くなる、心が豊かになるなど、成長には様々な形があります。この成長に一番必要なものは、主体性だと思っています。どんなに良い教員に教えられても、どんなに丁寧な参考書を読んでも、それは外から得られた知識でしかありません。大事なことは、その先の「自分自身でどのように考え、どのように感じ、どのように表現するか」のように思います。それが本当の人間力なのではないでしょうか。

 例えば、3年前に部員3名、週1回なんとなく集まるだけだった地学部。「この部活で何がしたい?」という一言だけで、部員同士で意見を出し合い、計画を立て、実行に移してきました。今では部員が20名を超え、年3回合宿を行い、天体観測だけでなく地質調査や校外活動に積極的に参加する部活動となっています。

 また、クラスの生徒は、文化祭まで80日という限られた時間で、演劇を完成させました。マニュアルも無い、台本も無い、衣装も無い。そんな中でクラス一丸となって協力し合い、何も無いところから作り上げていきました。途中、ぶつかり合ったり、苦悩したりする生徒を見てきましたが、最終公演を終えた生徒を見たとき、私の心も強く動かされました。そんな主体的に動き、自身の活動の幅を広げた生徒を、私は誇りに思います。

 日々接している高校生は可能性に満ち溢れており、毎日まぶしく見えます。そんな何にでもなれそうな高校生に囲まれ、私も学生時代に戻りたくなることが多々あります。しかし同時に、学生生活を終えた大人にだって成長する機会は無数にあるのだと気が付かせてくれます。私も毎日一歩踏み出すことを止めず、人として、教師として、成長していきたいと思います。

 後輩の皆さんも、大学生活を通して、悩み、苦しみ、葛藤することが多いと思います。ただ、その苦労の先に得られたものは一生物です。茨大生も高校生に負けないくらい、多くの可能性を秘めているでしょう。一人一人が最高の大学生活を送ることを願っています。

理学部同窓会会報 Vol.19, pp. 18-19(平成28(2016)年12月15日発行)より転載