地球環境科学コースでは、1年から4年の各学年で、一般教養、理学分野の基礎、地球科学分野の専門へと、各学年の教育目標に応じたカリキュラムが設定されています。詳細は入学時に配布される履修要項に記載され、その年の各授業の内容は、茨城大学ホームページの シラバスに載っています。各学年での大まかな学修の流れは以下のようになります。(画像をクリックすると、拡大できます)
※興味ある方はこちらのサイトから科目名を検索ください
1年次には、教養科目として大学入門ゼミ「地球環境科学の学び方」という最も基礎的な科目を学びます。前半の5月には、野外地質学(フィールドジオロジー)入門として、茨城県を代表する観光地でもあり、地質学的に重要な北茨城市五浦海岸や筑波山(写真)にでかけ、地層や岩石の調査・観察法の基礎を習得します。後半は3クラスに分かれて、文献検索法・レポートの書き方・プレゼンテーションの手法・観測データの統計処理法の基礎を学習します。「地球環境科学入門I」は、地球環境科学コースの概要がわかるオムニバス形式の講義です。教員の顔ぶれと専門分野がわかるよう、各教員が1回ずつ担当して研究内容や研究室の紹介をします。また、高校で地学を習っていない学生(習った学生は復習)のために「基礎地球惑星科学T・U」も用意しています。
2年では地球科学の様々な分野の基礎知識を学びつつ、実験実習が始まります。特に9月に行っている「地質調査基礎演習」では野外地質調査の仕方を、茨城県大子町研修センターに宿泊して学びます(写真)。班別での調査もあり、5泊におよぶ実習を通してクラスの結束が固まり,級友同士の交流が深まります。
「地球環境科学入門II」では、コースの分野毎の卒業研究の内容や、進路・就職状況などが紹介されます。特にその後半では、各分野の博士前期課程の大学院学生が各自の研究紹介に加え、就職体験や成功例を紹介しています。さらに社会で活躍するOB/OGを呼んで、卒業後のキャリアパスや経験など思いの丈を自由に語ってもらう場を設けています。本コースの卒業生は,技術士の資格を取得して地球科学関連企業の第一線で活躍しています。
2年生は、このほかの専門科目も通して、3年以降に所属して学習・研究を進めていく専門分野(地球物理学分野、地質・岩石鉱物学分野、惑星科学分野、+水圏科学分野)の選択を考える1年ともなります。また、コースに設けられた2つのプログラム、「地球惑星科学プログラム」とJABEE(日本技術者教育認定機構)の認定を得た「地球科学技術者養成(JABEE)プログラム」とのどちらかを選ぶことにもなります。
※JABEEプログラムを終了すると修習技術者(技術士補)の国家資格が得られます
※JABEEとは別に、特定の科目(測地学など)を履修すると測量士補の資格が得られます
3年次は、専門的教育を受けると同時に、課題解決型の演習や、研究に直結する実験・実習が本格的に行われ、カリキュラム上はさらに忙しくなります。3年〜4年向けに開講される「地球科学巡検I, II, III, IV」(I・IIとIII・IVを1年おきに実施)は、地球科学技術者養成プログラムの場合は3科目以上、地球惑星科学プログラムでは1科目以上を受講することになっています。野外の現場で直に学ぶという、本コースのカリキュラムの象徴的科目です。4泊 5日の日程で、関東地域の火山実習や気象観測(写真は富士山)、県西地域の水害・防災に関する観察、房総半島の千葉(チバニアン)セクションや北海道の白亜紀の地層見学などを行います。
学部最終年次である4年次には、学生個別のテーマを教員と相談しながら決め、1年間にわたる「卒業研究」に取り組みます。今まで培った基礎知識や技能を総動員して、正解のない課題に挑戦していきます。その成果は2月の卒業研究ポスター発表会で披露します。卒業論文を要約したポスター(A0版)がポスターボードに張られ、その前で、教員や同級生をはじめ3年生以下の学生らの前で、随時研究内容を説明します。
4年の課程を修了して卒業する学生のうち約半数は、大学院博士前期課程へと進学し、さらに研究活動を深めていきます。2年間かけて蓄積した成果は修士論文発表会の場で、学術学会のように一人20分で、口頭で行われます(写真:コロナ感染防止のためオンラインで実施)。
卒業式の終了後には、博士前期課程、博士後期課程の学生を含めて、コース全員で記念撮影を行い、大学4年の掉尾を飾る思い出となっています(写真)。
さいごに、地球環境科学コースでは、教育・研究面での地域との関わりをたいへん重要と考えています。教員・学生ともに地域と連携し、地域社会の発展に貢献することを一つの目標にしています。地域と連携した活動の一部は、平成17年以来開催されてきた「茨城大学・茨城県霞ヶ浦環境科学センター地域連携シンポジウム」で報告してきました。また、授業にも地域社会への貢献の視点を取り入れ、将来、地域社会の発展に寄与できる人材の育成もめざしています。
※地域活性化を目指した学生プロジェクトも行っております →学生PJへ